研究概要 |
生物学的廃水処理プロセスにおける余剰汚泥削減に及ぼす、生分解性プラスチックを電子供与源とする脱窒活性促進および脱共役剤の影響を検討した。 1.脱窒の促進による汚泥減量化:活性汚泥処理のBOD酸化・硝化槽と生分解性プラスチックを投入した脱窒槽の多段リアクターを構築し、全体のプロセスの汚泥減量効果を確かめた。その結果、通常の活性汚泥に比べて20〜30%の汚泥減量効果があることがわかった。この多段式リアクターの微生物群集構造について16S rRNA遺伝子を標的とするPCR-DGGE法、キノンプロファイル法、脱窒遺伝子を用いたクローンライブラリー法で解析した結果、ベータプロテオバクテリアが優占的に脱窒を行なっていることがわかった。 2.脱共役剤による汚泥減量化:脱共役剤3,5-ジクロロフェノール(3,5-DCP)を間欠的に添加した場合の活性汚泥処理槽の汚泥減量効果と群集構造の変化について調べた結果、BOD除去活性を著しく損なうことなく汚泥減量が起こることを認めた。また、3,5-DCPによる増殖阻害は、生分解性プラスチックを添加に伴う吸着効果によって起こらなくなることが認められた。活性汚泥リアクターの3,5-DCPによる増殖抑制効果は長期間の運転によって徐々に失われ、運転3週間目では完全に汚泥減量が起こらなくなった。この系の微生物群集構造の変動を解析した結果、3,5-DCPの添加によってベータプロテオバクテリアを主要菌とする菌叢から最終的にはアルファプロテオバクテリアおよび長鎖型メナキノンを有するアクチノバクテリアが優占する菌叢に変化していることがわかった。 3.好酸性硝化・脱窒による汚泥減量効果:活性汚泥をpH4の無機塩培地で培養した場合の硝化活性と脱窒活性を調べた結果、強酸性条件下でも硝化が起こる認め、また余剰汚泥を発生することなくバイオマスが減少して行くことを認めた。
|