研究課題/領域番号 |
17310056
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
足立 智 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (10221722)
|
研究分担者 |
戸田 泰則 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00313106)
武藤 俊一 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (00114900)
|
キーワード | 単一量子ドット / 電子スピン / テラヘルツ / STIRAP / ラマン過程 / 結合量子ドット / 量子状態制御 / InAIAs |
研究概要 |
本研究では、テラヘルツ(THz)光の応用の1つとして、THz光とレーザー光を用いた単一量子ドット分光法の開発を目的とする。具体的にはTHz光を用いて、磁場中におかれた結合量子ドットのゼーマン分離した電子準位間でのスピン転送技術を確立する。 今年度は、テラヘルツ光を使用する手法(ドット間スピン転送)と相補的な連続準位を介した2光子過程を用いる方法(ドット内スピン反転)を試みた。単一量子ドットの磁場下でゼーマン分裂した2つの励起子準位(スピンアップとスピンダウン)の間を量子ドットの連続準位の裾を中間準位とした系において、各励起子準位からの発光をモニターすることにより、連続状態のコヒーレント励起による励起子スピン状態の制御を行った。時間差をつけたダブルパルスによる同軸励起を用いることにより、パルス時間差の関数として励起子スピンの同位相および逆位相での振動の観測に成功した。逆位相で振動する場合には、発光強度の振動だけでなく、ゼーマン分裂エネルギーの振動も観測された。発光強度の振動は、ゼーマン分裂した励起子準位のポピュレーションが逆位相で振動する場合、励起子スピン偏極度の振動となるため量子ドットの核スピンが偏極され、電子が感じる実効的な磁場強度が核磁場により変調されたためと考えられる。この結果により、量子ドットの電子スピンと核スピンのコントロールに、連続状態をラムダ型遷移の中間準位として使用可能であることが初めて示しめされた。この結果は英文学術誌に投稿中である。
|