研究概要 |
酸化物半導体ZnO系材料はバンドギャップエネルギーが3.28eV,励起子結合エネルギーが60meVと極めて大きい特長があり,新しい光デバイス材料として高いポテンシャルを有している。さらに,光学品質の良いナノ構造を導入できれば,励起子結合エネルギーを増大させることが出来,原理的には量子効果により非常に高効率な発光が期待できる。しかし,デバイスクオリティの薄膜構造,均一な混晶膜,p型伝導性制御等の実現が困難の課題があった。これらの問題に対し,非平衡度の大きいラジカルを用いる有機金属気相堆積法(RPE-MOCVD)を研究開発し,上記課題に取り組んできた。これまでに,内外で初めて,可視から紫外域までの混晶組成を実現し,p型制御についてもNラジカルを用いて低キャリア濃度ではあるが実現できた。それらをまとめて,ZnO系ダブルヘテロ接合を実現し,電流注入によりRGBのエレクトロルミネッセンス発光を得,ZnO系発光デバイスのフィージビリティを示せた,量子構造に関しても,ZnO系ナノドットについて新しく導入できたRPE-MOCVD装置でファインな成長制御が可能になり量子効果によるブルーシフトを観測でき,要素技術の基礎を固めることができた。
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