研究概要 |
本年度の研究実施計画に基づき検討を行った結果を以下にまとめる. 1.光学特性ナノ粒子の種類,導入方法の検討 昨年度の検討で合成したメルカプト基を有する球状メソ多孔体シリカの細孔内に金のナノ粒子を導入することに成功した.処理条件の最適化により,金のナノ粒子の細孔外での析出を防ぐことができた.このコンポジットから作製したコロイド結晶は,ストップバンドを示すだけではなく,、金のプラズモン吸収も有していることから,全く新規な特性を有する材料として期待できる.また,テンプレートイオン交換法により,Cd, Znイオンを導入し,H2Sガスで処理することにより,硫化物半導体ナノ粒子(CdS, ZnS)を球状メソ多孔体シリカの細孔内に導入することにも成功した. 2.大細孔径単分散球状メソ多孔体シリカの合成 球状メソ多孔体シリカを合成後,長鎖界面活性剤あるいは,エキスパンダーの存在下で水熱処理することにより,粒子径の単分散性を保持したまま,細孔径が拡大できることを見出した.条件を最適化することにより,細孔径は約2倍以上に拡大し,酵素,強磁性ナノ粒子等の導入が可能になった.メカニズムについても解析を行い,長鎖のアルキル基を有する界面活性剤が,細孔内の界面活性剤と完全に入れ替わることを確認した.また,エキスパンダーの場合は,界面活性剤との強い疎水性相互作用により細孔内に導入されることを確認した. 3.強磁性ナノ粒子の球状メソ多孔体シリカへの導入 2項で述べた大細孔径単分散球状メソ多孔体シリカの細孔内にFePtを導入した結果,強磁性を有することが明らかになった.拡大した細孔径がFePtの強磁性限界粒子径を超えたために強磁性コンポジットの合成が可能になった. 4.コアシェル型球状メソ多孔体シリカの合成 粒子の内側と外側で細孔の化学特性の異なるコアシェル型単分散球状シリカ多孔体の合成に初めて成功した.1つの粒子の内側と外側に異なる特性を有するナノ粒子,または,色素を導入できる可能性がでてきた.
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