研究分担者 |
中村 忠司 先端研究センター, フロンティア研究部門 矢野研究グループ, 研究員 (70394757)
山田 有理 先端研究センター, フロンティア研究部門 矢野研究グループ, 技師 (00394966)
水谷 守 株式会社 豊田中央研究所, フロンティア研究部門 矢野研究グループ, 客員研究員 (90399733)
熊谷 等 先端研究センター, フロンティア研究部門 矢野研究グループ, 研究員 (80394899)
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研究概要 |
単分散球状メソ多孔体シリカの細孔内に光学特性あるいは磁気特性を有するナノ粒子又は有機化合物を導入し,それらの集積構造体を合成することを目的に検討を行ってきた.その結果,下記の知見が得られた. 1.単分散球状メソ多孔体シリカの合成 有機官能基を含有するシリカ源を共縮合することにより,単分散球状メソ多孔体シリカの細孔内に有機官能基を導入することに成功した.また,単分散球状メソ多孔体シリカを合成後,長鎖界面活性剤あるいは,膨潤剤の存在下,アルコール/水の混合溶媒中で熱処理することにより,粒子径の単分散性を保持したまま,細孔径が拡大することを見出した.条件を最適化することにより,細孔径は約2倍以上に拡大し,酵素,強磁性ナノ粒子等の導入が可能になった.さらに,粒子の内側と外側で細孔の化学特性の異なるコアシェル型単分散球状メソ多孔体シリカの合成に初めて成功した.1つの粒子の内側と外側に異なる特性を有するナノ粒子,または,色素を導入することが可能になった. 2.ナノ粒子導入法 フェロセン鉄カルバルデヒドを前駆体として用いることにより,1回の操作で大量の酸化鉄ナノ粒子を単分散球状メソ多孔体シリカの細孔内に選択的に導入する方法を見出した.一般的に行われている鉄のイオン結晶溶液を細孔内に含浸させる方法では,酸化鉄の導入量を増やすことが難しい,また,主として細孔外に酸化鉄が生成してしまうという2つの大きな問題点があった.本方法により,これらの問題点を一度に解決することができた.さらに,メルカプト基を有する単分散球状メソ多孔体シリカの細孔内に金のナノ粒子を導入することに成功した.処理条件の最適化により,金のナノ粒子の細孔外での析出を防ぐことができた. 3.集積構造体の特性 有機色素を導入した単分散球状メソ多孔体シリカからコロイド結晶を作製することに成功した.色素の導入量に応じて,コロイド結晶の反射波長が変化することが分かった. これらは,新規材料合成において基礎・応用の面から重要な知見であり,10報の論文としてまとめられた.
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