研究概要 |
細胞チップなどのバイオデバイスの開発には,細胞接着の制御技術が必須である。本研究では,細胞接着をその場でコントロールする電気化学バイオリソグラフィーの技術的確立を行い,細胞接着の制御に留まらず,既に付着している細胞の増殖や伸長のパターンをin-situで誘導する技術に磨き上げた。具体的には以下の3項目を実施した。 1.メカニズムの解明 アルブミンおよびヘパリン吸着層に起こる表面反応の機構解明をAFMとTOF-SIMSでおこない、これらの吸着層が、次亜臭素酸によって瞬時に脱着することが分かった。 2.細胞増殖・伸長のin situ誘導 細胞接着の誘導にとどまらず,既に付着している細胞の増殖,伸長,遊走,をin-situで誘導する技術に展開した。その実現のために,電気化学バイオリソグラフィーが細胞に与えるダメージを生死判定染色などによって評価する必要があった。特に,神経細胞の軸策伸長の誘導には,数マイクロメートルの精度で段階的なリソグラフィーを行う必要があった。最適条件の系統的探索のために,生死判定を含む評価法を導入し、細胞にダメージを与えることなく、基板層のみを改質できることが分かった。 3.細胞マイクロパターンの長期保持 本法の特長を活かした異種細胞のマイクロ共培養を展開するためには,細胞パターンの長期保持が重要な課題となった。そこで、ポリエチレングリコール(PEG)やMPCポリマーなど,長期安定性が確認されている抗血栓材料で作製したマイクロパターンに対して,アルブミン処理と組み合わせた電気化学リソグラフィーを適用する方法を開発した。
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