研究課題
基盤研究(B)
今日のマイクロフォトニクスや半導体集積回路におけるマイクロ・ナノ構造作製技術に対するニーズは、高精度、迅速性、および量産性の確立である。すなわち、高い分解能で高品質の構造体を高速かつ低コストのマイクロ・ナノ構造作製技術が要求される。同時に、その技術をナノバイオロジーなど他分野へと適用可能な柔軟性を有することも重要である。これらの要素を兼ね備えるのが、本研究において研究開発を行ったプロトンビーム描画(Proton Beam Writing、PBW)技術である。本研究の目的は、プロトンビーム描画技術を用いた、ポリマー・ガラス材料のマイクロ・ナノ加工に関する研究を行うことである。具体的な課題は、プロトンビーム描画の基盤技術開発、集束プロトンビーム制御走査技術、マイクロフォトニクスおよびナノバイオロジー応用、の3点である。まず、プロトンビーム描画基盤技術として照射条件の最適化(有機・無機レジスト)、高アスペクト比構造(20以上)の形成を達成した。次に、集束プロトンビーム制御走査技術においては、照射量モニタ技術開発および統合制御ソフトウエアの開発を実施した。その結果、100nm級プロトンビーム形成に成功した。サブ100nm級を目指した集束限界、イオンビーム電流値の向上、照射ステージを利用したmmオーダの広域描画技術開発に関する検討を行った。デバイスの応用として、バイオセンサ基本構造の作製を実施し、高アスペクト比ピラーを用いた誘電泳動による大腸菌やイースト菌などのミクロンサイズの微生物捕集効果を確認した。また、マイクロフォトニクスへの応用に向けて、有機あるいは無機シロキサンをネガ型レジストとした微細構造形成に成功した。
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Microsystem Technologiesオンライン版(Published online:29 January 2008)
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