研究概要 |
大震災に伴う人的被害は,時刻,曜日,季節などに応じてダイナミックに変化する人々の都市内滞留者人口・移動者人口の空間分布に依存している。そこで,首都圏で行われた大規模なパーソントリップ調査のデータ(PTデータ)を用いて,「どのような人(性別・年齢)が,いつ(時刻),どこで(場所・施設),何を(目的)しているのか」といった人々の時空間分布を推計することのできる「都市内滞留者・移動者の時空間分布推計モデル」について検討し,昨年度までに構築した基本モデルに改良を加えた。具体的には,モデルの適用性を高めるために,(1)滞留人口を推計するエリアの大きさや形に依存しないモデルへの改良を試みた。また,(2)推計値の推定精度を評価する方法について検討し,実際のデータを用いて検証した。さらに,(3)自動車利用者の時空間分布を推定するモデルへの改良を試みた。具体的には,過年度までは考慮されていなかった自動車の平均移動速度の時刻変動を明示的にモデルに組み込み,モデルの精度を高めた。最後に,(4)平日だけでなく,休日の都市内滞留者人口・移動者人口の時空間分布を求めるために,NHK生活時間調査のデータを用いて,平日の都市内トリップ・パターンを表すパーソントリップ調査の原データを休日のトリップ・パターンを記述するデータへ変換する方法を構築した。このデータを用いて同様に分析することで,平日と休日における都市内滞留者人口・移動者人口の時空間分布の違いを抽出することが可能となった。
|