研究概要 |
本年度は,次の研究を行った.それぞれの主な成果は次の通りである. 1.ファジィ数理計画法への様相概念の導入:線形計画問題の最適性を様相概念を用いて拡張された方法のサーベイを行い,研究上注意すべき点を明らかにし,国際会議で報告した.また,区間係数の場合に,従来の可能的最適性と必然的最適性との中間的な性質を持つ最適性概念を様相概念を用いて構成し,実行可能解が与えられた場合の最適性テスト問題の解法を提案した.この成果も国際会議で発表した. 2.区間DEAへのBipolarity性の導入:区間入出力データが与えられた場合の包絡線解析(DEA)について,与えられたデータの尺度に依存しない効率値を提案し,様相概念による定性的な解析に加えて定量的な解析が可能となることを示した.また,Inverted DEAの概念を導入し、効率性と同様に25種類の非効率性が定義できることを示した. 3.Bipolarity情報のもとでの意思決定:2で開発した区間データの下でのDEA解析とInverted DEA解析により,効率性と非効率性の両側面の解析を併合して得られる解析法を確立した.特に,区間データの場合には,不安定型の活動を新たに特定できることを示した. 4.ラフ集合理論と決定ルール:支配関係下でのラフ集合,可変整合度ラフ集合および可変精度ラフ集合を取り上げ,構造に基いて定められる種々の縮約を定義するとともにそれらの相互関係を明らかにした.この成果の一部は国際会議で発表した.また,決定クラスを分類してからルール抽出を行う方法を提案し.その有效性を明らかにした.この成果は国際会議で発表するとともに学術雑誌に投稿した. 5.ファジィラフ集合と漸次的ルール:国際共同研究によりファジィラフ集合においても縮約が定義でき,識別行列を用いて計算できることが明らかになった.
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