研究概要 |
1.社会で広く、用いられている危険度情報の現状分析ならびに類型化手法の検討 天気予報や津波予報等の気象予警報,東海地震に関する予知情報,洪水や渇水に関する情報,外務省による海外渡航情報や感染症危険情報など,社会的に広く認知されている危険度情報について,危険度を分類しているカテゴリーとその根拠,さらにカテゴリー別にどのような対応方法をとるべきと定められているかの現状分析を実施した。さらに,これらの危険度情報が発せられている際の一般市民の対応行動の実態を比較し,これらの危険度情報が市民の防災行動に結びつくためにどのような改良が必要であるかの検討を行った。 2.地震・感染症等に関する危険度情報の現状分析ならびに類型化手法の検討 2回の研究会を開催し,何らかの基準で危険度が等級化され公表されている危険度情報について用いられている表現方法,危険度の等級化の根拠とされている閾値について実態調査の結果報告と課題の抽出を行った。具体的には地震の発生確率に関し,発生を確率で表現できる地震(南海トラフ等)と表現できない地震(内陸地震)を前提に,地震発生確率ではなく確定論で表現しなければ市民の理解を得ることは困難であること,さらに地震の発生確率を等級で表現することの可能性を検討した。 またBSE,新型インフルエンザ等の感染症や放射性物資に関する危険度情報の現状について,どのような医学的根拠に基づいて危険度のレベルが等級化されているかを明らかにし,また政府や地方公共団体,医療機関等がその対応の根拠とする危険度レベルと対応方法の分析を行った。 3.エスノグラフィー調査に基づいた災害対応行動を規定する要素群の構造化 新潟県中越地震に関し小千谷市職員,JR福知山線列車脱線事故時における尼崎消防局ならびに神戸市消防局職員に対する災害エスノグラフィー調査を実施し,データの収集・整理を実施した。その調査結果に基づき,消防職員等災害対応従事者らの判断・意思決定に影響をもたらした情報,災害対応行動に変化をもたらした情報の分析を行った。
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