研究課題
哺乳類の遺伝的に決定された内在性の概日時計の本体(細胞)は、脳視交叉上核(Suprachiasmatic nucleus ; SCN)にある。概日リズムの形成には、多様な分子の複雑な相互作用によるネットワークが機能していると考えられる。よってこのネットワークの基本構造を理解するには、概日時計細胞内や細胞外の各種代謝物質の濃度を経時的かつ網羅的に定量した統合データベースの構築と、さらには最先端の情報科学分野の解析技術に基づくモデル化が必要である。このためには、中枢と末梢組織のリズム位相を細胞レベルで特定する方法、及び代謝産物の効率的な網羅的解析法の開発が必要である。本研究では、このPeriod1::luciferase導入SCN由来細胞及び末梢性細胞について最新の方法によるメタポローム解析を行い、それぞれの細胞内で概日振動を示す低分子を探索しデータベース化する。さらに、SCN由来細胞同士のリズム同調分子、並びにSCN由来細胞が末梢性細胞の概日リズムの同調をおこなう際に作用する分子の検索を進める。本年度は、Perl::luc導入SCN由来細胞を用いて、検出できうる約800種の代謝物質のメタボローム解析を行った。現在細胞内レベルが概日振動を示す代謝物質のデータベース化を進めている。さらに、位相同調時(前進や後退)に細胞内レベルが特異的に変動する分子の検索を進めている。で次年度以降は、得られたデータベースを用いて概日リズム形成の分子機構についてモデル化し、構築したモデルの中から中心的役割を果たす分子についてその機能を個体レベルで解析を進行する。
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