研究概要 |
本研究では、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイリングによりエストロゲンに対して応答性を示すことが明らかになった遺伝子についてプロテオーム解析を用いてシグナル伝達系を明らかにすることによりエストロゲン応答遺伝子の機能及びネットワーク(ノンゲノミック経路)を明らかにすることを目的とする。本年度は、以下の解析を行った。 (1)シグナル伝達系関連タンパク質に関しては、漢方生薬の甘草や人参などの抽出物を用いた解析を行い、エストロゲンとの共通性(ERKやAKTなどのリン酸化状態の変動に関して時間変動や物質の量に対する変動)を比較し、カスケードを詳細に解析した。また、GPR30などエストロゲン受容体以外の受容体のカスケードの検討を行ない、阻害リや受容体に対する抗体による阻害効果を比較した。成果を学会発表及び論文として公表した(Inoue, et. al.,2007;Dong, et. al.,2007;Tanaka, et. al.,2007;Parveen, et. al.,2008)。 (2)脳神経系のエストロゲン応答性に関与する遺伝子の解析に関しては、日本医科大と共同でDNAマイクロアレイを用いた脳の性分化り男与する遺伝子の解析を行った。特に、すでに又得した脳の女性化・男性化に関与する遺伝子の中で、アポトーシスや細胞移動に関係する遺伝子(タンパク質)に注目してウエスタンブロット解析などによりシグナルカスケードの探索を行い、成果を報告した(Xu, et. al.,2008)。さらに、アポトーシスのシグナル伝達経路としてTGFβ、TNFαあるいはER-stress signaling等の経路との関係を明らかにした。
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