研究概要 |
プレニル鎖延長酵素の基質認識機構に関する研究:ある種の細菌由来のE,E-ファルネシル二リン酸合成酵素(E-FPS),およびZ,E-ファルネシル二リン酸合成酵素(Z-FPS)について、3位のメチル基を欠いたアリル性基質ホモログの阻害効果を調べた結果、E-FPSについてはホモアリル性基質の認識に、Z-FPSについてはアリル性基質の認識に3位のメチル基が重要であることが明らかとなった。シス型プレニル鎖延長酵素のプレニル鎖延長反応停止機構に関する研究:Z-FPSおよび新規シス型中鎖プレニル鎖延長酵素に対し、部位特異的変位導入酵素を各種作製し、生成物のプレニル鎖長に影響を及ぼす部位の特定を行なった。その結果、短鎖プレニル鎖延長酵素ではアリル性基質の認識部位周辺のアミノ酸残基のかさ高さと疎水性が重要であり、中鎖プレニル鎖延長酵素では大きな疎水性クレフトの上部のアミノ酸残基が反応生成物の鎖長制御機構に関わっている可能性が示唆された。一方、アポ型のウンデカプレニル二リン酸合成酵素のX線結晶構造解析を行った結果、アポ型の結晶構造にHelix-3が真っ直ぐ伸びた構造と折れ曲がった構造の中間的な構造が確認されたので、中鎖プレニル鎖延長酵素はHelix-3の柔軟性で、IPPの縮合反応の度にclosed型-medium型-open型のサイクルを繰り返すことで連続的なプレニル鎖延長反応が達成されるという触媒サイクルモデルを提案出来た。天然ゴム生合成に関連する酵素系の解析研究:パラゴムノキのラテックスを超遠心分離して得られる低分子量ゴム粒子画分に高いゴム合成酵素活性が再現性良く得られることが明らかになった。この画分のゴム合成酵素活性はIPP添加のみで分子量百万程のゴム分子を合成するので、この画分中にアリル性基質またはゴム合成酵素の活性化因子の存在が予想される。
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