研究課題/領域番号 |
17310127
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
柄谷 肇 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10169659)
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研究分担者 |
和田 実 東京大学, 海洋研究所, 助教 (70292860)
佐々木 健 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (20205842)
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キーワード | 生物発光 / 微生物ルシフェラーゼ / 蛍光タンパク質 / 融合タンパク質 / 遺伝子発現 / 蛍光イメージング / 生細胞イメージング / 細胞分裂周期 |
研究概要 |
1.昨年度に引き続いてAllivibrio fischeri Y1 (旧名Vibrio fischeri Y1)のルシフェラーゼ(L'ase)反応をin vitro系において詳しく調べ、生物発光色の可逆的変化が内在性黄色蛍光タンパク質(YFP)のレドックス挙動に支配されることを明らかにした。この成果はA. fischeri Y1生細胞における可逆的な発光色の時空変化の解明において意義深いものとなった。 2.YFPの他、A. fischeri Y1由来青色蛍光タンパク質(BFP)及びL'aseをコードする遺伝子ベクターを構築し、大腸菌発現系を確立した。さらに高度な時空分布解析への応用を目指して、YFP-BFP融合体をコードするキメラ遺伝子を構築した。YFP-BFP(逆方向のBFP-YFPを含む)間は最大12個のアミノ酸で連結した。YFP、BFP及び融合体は発現後、すべて菌体内で自発的にフォールディングすることが確認された。種々のYFP-BFPを生産し、単離精製して蛍光挙動を調べた結果、12アミノ酸残基をリンカーとする融合体(YFP-12-BFP)はYFP及びBFPの特性を併せ持つバイモード蛍光性であることがわかった。さらに遺伝子の構築と関連して発光に基づくDNAの特異的検出定量法を確立した。 3.形質転換大腸菌の生細胞イメージングを実施した。YFP蛍光は細胞膜近傍で比較的明るいのに対してBFP蛍光は細胞空間全体で観測された。YFP-12-BFP融合体では、蛍光サイトの細胞内空間依存性がみられた。成長時間を変数とする観測から、融合体の発蛍光能がゆるやかに時間変化すること、特に静止期では融合体YFPからの蛍光が融合体BFPに比して明るくなることが示唆された。一連の実験結果より、時空変化を示す細胞内情報を、YFP及びBFPからの光シグナルとして捉えられることが示唆された。
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