研究課題
本年度は本研究推進のための基盤整備と、研究参加者各人による各地域の諸問題掘り下げ、並びに全体的視野獲得のために多面的に関連している19世紀-20世紀のユートピア的思想や政治思想について研究代表者による報告(「東北アジアにおけるユートピア思想と地域の在り方」研究会キックオフにあたって-この研究に何が期待されるか?)を行い、さらに近代日本のユートピアの「連鎖」についての見通しを得るため、山室信一京都大学人文科学研究所教授の講演会(山室信一先生講演会(公開)「ユートピア思想の舞台としてのアジア」)を開催した。研究代表者及び関係研究者は、19世紀以降の中国での在り方について検討を進めるために、新聞『申報』等による全般的調査を進め、特に満洲国でのユートピア問題について諸史料・研究の発掘に努め、「協和」という思想の展開を主軸として一定の見通しが得られたので、18年度の成果公表に向けて準備に入っている。また東北アジア研究センター内外の他の研究者の支援を得て、センターの共同研究としても組織し、広範囲に及ぶ本研究をさらに多面的な展開が可能になるようにした。なお、直接関係あるいは関連する業績については、研究発表欄に記載したが、老人優遇策に見られる東アジア的特質が如何に理想的政治の根幹として認識されていたか、また日本近世において「公共」という場がどのような人々の理想・観念と関わっていたか、「満洲」問題へのソ連の対応はどのような現実に対応し、それが満洲国にどう影響したか、シベリアの民族の間に見られる政治的理想と民族的アイデンティティーの関わり等々の成果をあげた。またロシア(モスクワ・ヤクーツク等)・モンゴル(ウランバートル等)等での調査研究と国内の史料所蔵機関での調査研究を精力的に推進した。これは次年度以降もさらに広範に展開・継続する予定である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
東北大学東洋史論集 第10輯
ページ: 37-96
日本史研究 第511号
ページ: 41-60
近代中国東北地域史研究の新視角(江夏由樹、中見立夫、西村成雄、山本有造編集)(山川出版社)
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東北アジア研究 第9号
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Bruchlinien im Eis : Ethnologie des zirkumpolaren Nordens. Wien : Lit, 2005(Bauer, D. et al. eds.)
ページ: 141-153
ページ: 37-58