研究課題
本年度は本研究推進のための基盤整備と、研究参加者各人による各地域の諸問題掘り下げを行った。そして全体的視野獲得のために、多面的に関連している19世紀〜20世紀のユートピア的思想や政治思想について、研究代表者による報告を行い、その成果を山田「19〜20世紀東北アジア「ユートピア」研究序論」としてまとめた。これによって、本研究で使用するユートピア語義の幅を示し、日本での「ユートピア」概念が社会主義的バイアスによってゆがめられていることを指摘した。さらに、日本の東北アジアへの進出において打ち出された「アジア主義」・「大東亜」について、北一輝・大川周明等のありかたを絡めた内容の松本健一麗澤大学国際経済学部教授による講演会を開催し、同教授と本共同研究参加者との討論も行った。その講演と関連する成果が『東北アジア アラカルト』第18号(東北アジアにおけるユートピア思想と地域の在り方研究会講演会記録「松本健一「アジア主義と大東亜戦争-北一輝・大川周明・石原莞爾・中野正剛-」」)である。これによって、敗戦前の日本の諸人物についての通説的理解を批判的に検討していくべきことが示された。さらに、『申報』などの購入設備を利用して、研究代表者は満洲国問題について掘り下げ、溥儀と関連する一人の日本人の具体的行動の解明に向かい、2007年度中には一書にまとめるまで研究を進めつつある。そして、アジア主義と日本の進出に関わる偽上奏文「田中義一上奏文」問題についての、分担者寺山恭輔による研究成果も得られた。さらにロシアその他での海外調査も、本経費のみならず他の経費による調査の際も含めて引き続き行い、また国内における調査、資料収集も行った。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (9件) 図書 (2件)
東北アジア研究 第11号
ページ: 1-20
近現代内モンゴル東部の変容(早稲田大学モンゴル研究所編)(雄山閣)
ページ: 47-70
初期コミンテルンと東アジア(初期コミンテルンと東アジア研究会編)(不二出版)
ページ: 177-231
史林 90巻1号
ページ: 147-178
Asian and African Area Studies, Special Paper 10
ページ: 63-76
地域社会とリーダーたち(平川新・谷山正道編(近世地域史フォーラム(3)))(吉川弘文館)
ページ: 122-150
ロシア史研究 78
ページ: 38-45
Current Anthropology 47-6
ページ: 1009-1016
列島史の南と北(菊池勇夫・真栄平房昭池編)(吉川弘文館)
ページ: 164-189