研究課題/領域番号 |
17310143
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高橋 基樹 神戸大学, 大学院国際協力研究科, 教授 (30273808)
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研究分担者 |
福井 清一 神戸大学, 大学院国際協力研究科, 教授 (90134197)
高橋 眞一 神戸大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80030683)
金子 由芳 神戸大学, 大学院国際協力研究科, 教授 (10291981)
小川 啓一 神戸大学, 大学院国際協力研究科, 助教授 (90379496)
笹岡 幹子 (西村 幹子) 神戸大学, 大学院国際協力研究科, 助教授 (20432552)
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キーワード | 脆弱性 / 開発途上国 / 教育・職業訓練 / 人口増加 / 保健 / インフォーマル部門 / 貧困 / 制度構築 |
研究概要 |
1,平成18年度は、前年度に引き続き、タンザニア農村でフィールドワークを行った。これらに加えて、同国の都市インフォーマル部門、また保健セクターでの予備的現地調査もあわせて実施した。タンザニアの農村調査のサイトは、コースト州バガモヨ県である。 2,農村のフィールドワークにおいては、人口調査を核として、世帯の土地保有のありかた、その教育経験年数との関連、肥料等の投入物の導入状況、およびこれらの変化についての調査等を行い、脆弱層の特徴を析出することを試みた。その結果、脆弱性の指標としての所得水準や所得機会の多様化と、土地保有、および世帯主の教育年数に密接な相関があるなどの仮説的な調査結果が得られた。 3,都市インフォーマル部門での調査では、一部の製造業種においては、公的な職業訓練が営業開始の促進要因となっていること、またマイクロファイナンスも含む信用の利用が著しく限られ、そのことが経営上そして生活上の脆弱性をもたらしていることが窺えた。これはインフォーマル部門への参入とそこでの発展の要因を考えるにあたり、示唆となった。今後は、これらの仮説的な知見をより広範なデータに基づく実証と理論的考察によって確認することに重点のひとつを置きたい。 4,農村・都市部のそれぞれにおいて脆弱層がどのようなセーフティ・ネット、言い換えれば制度の中に身をおいて自らを守っているのか、また保健、教育、職業訓練等の政府行政機構による生活安全保障のためのサービスはどれほど草の根の人々に稗益しているのか、という具体的な問題が浮き彫りとなってきた。これらの問いに答えながら、脆弱層自身による制度構築の営為を解明して、もって研究の最終的日的を果たすこととしたい。
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