研究課題/領域番号 |
17310144
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉村 慎太郎 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (40220735)
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研究分担者 |
町田 宗鳳 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (10334450)
三木 直大 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (10190612)
水羽 信男 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (50229712)
吉田 修 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 教授 (60231693)
外川 昌彦 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (70325207)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | 差異化 / 市民社会 / ナショナリズム / 平和運動 / 民主主義 / メディア文化 / グローバル化 / リベラリズム |
研究概要 |
本プロジェクトは、国際平和協力が持続可能になるかどうかのキー概念として、「差異化」を問題に設定し、「差異化」創造の権力的メカニズムの抽出と克服の手法をめぐって3年に渡って研究に従事した。その切り口は多様であったが、本プロジェクトのメンバー全員はそれぞれが担当するアジア諸地域の現地フィールドワークと文献調査を実施し、それに基づき歴史的に、或いは経済や文化を含む非政治的な日常生活のなかに「差異化」が持ち込まれ、それに対して如何なる運動が社会レベルで生まれつつあるかを検討してきた。 研究当初、「われわれ」と「彼ら/彼女ら」、「内部」と「外部」に非対称的な切断線を引き、集団間にも集団内部にも権力関係を持ち込む政治的実践であり、さらに人間が本来多様なレベルで連続性を有する現実を隠蔽するカの論理のエッセンスであることを共通認識としていた。しかし、共同研究を進めるにつれて、アジアの諸社会自体にも歴史的にかかる非対称性を育む諸条件が存在し、それ故に主体的にそれらを治癒する価値意識や制度作りの努力、さらに抵抗する運動があることが徐々に明らかとなった。こうした動きは外部からの「民主化」や「平和運動」、それに触発されたNGOの主体的な動向にも顕著に認められる。共同研究者は、こうした非対称性の主体的発見と動向という現象自体も「差異化」概念の一部として捉えるべきと考えるようになった。言い換えれば、「差異化」とはグローバル化されるアジア社会において生じている日常的なダイナミズムであり、それがもたらす人種、民族、階級などの多様な切断線は単なる支配の論理だけでなく、新たな社会的関係を構築する可能性も内包している点に着目しない訳にはいかないのである。以上の点を踏まえ、各研究成果を比較の手法を通じて摺り合わせ、持続可能な現地密着型の平和構築に向けた具体的道筋を見出す課題が明らかとなった。
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