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2007 年度 実績報告書

自己知と自己決定の倫理学的再吟味

研究課題

研究課題/領域番号 17320008
研究機関専修大学

研究代表者

大庭 健  専修大学, 文学部, 教授 (00129917)

研究分担者 坂井 昭宏  桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (20092059)
川本 隆史  東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40137758)
水谷 雅彦  京都大学, 大学院・文科学研究科, 教授 (50200001)
中岡 成文  大阪大学, 大学院・文科学研究科, 教授 (00137358)
越智 貢  広島大学, 大学院・文科学研究科, 教授 (00152512)
キーワード自己決定 / 一人称権限(firstpersonauthority / 自律 / 自己責任 / 自己知(self-knowlede)
研究概要

「自己決定の尊重」が主張されるときには、自己の欲求にかんする一人称権限(firstpersonauthority)と、自律(autonomy)の価値が前提されている。
1.公言に特有の一人称権限は、しかしながら、それを経験的認識における確実性と同種の確実性として説明しようとすると多大の難点が生じ、さりとて認識論とは独立の語用論的な規約に帰着させようとすると別の困難が生じる。このディレンマの詳細な構造はかなり明らかとなったが、その根本的な解決には未だ遠い。しかし解決の鍵は、これまで余り重視されてこなかった<意識の本源的な一人称的能動性>に新たな光を当てるところにあるのではないかと推測されるに到った。
2.自律の概念もまた、愛着等々の行為者相対的な要素をむしろ排除する理性主義的な捉え方と、主意主義的な自己同定による統合性を強調する捉え方のあいだを振動しており、それらを突破するには、対他存在としての自己の相互的な構成という側面を自律の概念に組み込む必要がある、ということが明らかとなった。
3.自律的な自己決定のあり方を左右するのは、状況および自己の欲求の認知であるが、この認知は、それまでの対人関係の反照的結節としての<自己イメージ>に媒介・誘導されており、とりわけ構造的な非対称性のもとでは、この媒介・誘導作用を当人自身がいかに対象化しうるか、ということが枢要の問題となる。この問題を等閑に付した「自己決定の尊重」は、新自由主義の「自己責任」論をむしろ補完する、ということが明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 指標語「私」と固有名-「私」の意味と指示(IV)2007

    • 著者名/発表者名
      大庭 健
    • 雑誌名

      生田哲学(専修大学哲学会) 11

      ページ: 1-33

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 倫理学が直面すべき現実とはなにか2007

    • 著者名/発表者名
      水谷 雅彦
    • 雑誌名

      アルケー(関西哲学会) 2007

      ページ: 13-26

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 査読あり
  • [図書] 共生から2008

    • 著者名/発表者名
      川本 隆史
    • 総ページ数
      153
    • 出版者
      岩波書店
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [図書] 倫理的叡智を求めて2007

    • 著者名/発表者名
      (財)上廣倫理財団編
    • 総ページ数
      9-30,83-106
    • 出版者
      東洋館出版
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [図書] パラドックスの扉2007

    • 著者名/発表者名
      中岡 成文
    • 総ページ数
      148
    • 出版者
      岩波書店
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [図書] 現代倫理学2007

    • 著者名/発表者名
      坂井 昭宏・柏葉 武秀編
    • 総ページ数
      218
    • 出版者
      ナカニシヤ出版

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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