研究分担者 |
金子 洋之 専修大学, 文学部, 教授 (60191988)
戸田山 和久 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (90217513)
郡司 幸夫 神戸大学, 理学部, 教授 (40192570)
出口 康夫 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (20314073)
深尾 憲二朗 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60359817)
|
研究概要 |
数理的な方向としては,金子はマイケル・ダメットの反実在論の論証がいかなる論証であるかを,表出論証を中心に解明し,その背後にある改訂主義がいかにして成立しうるかを明らかにした.また白旗はゲーデルのダイアレクティカ解釈を線形論理化するという研究を継続して行った.岡本は線型論理の乗法的な論理演算子の持つ動性について考察を行った.歴史的な方向としては,出口はスコーレムとヒルベルトの著作の読解と分析を行い,計算数学の歴史的な展開を,スコーレムの数学思想を軸に考察した.科学哲学的な方向としては,戸田山は科学理論に対するモデル論的なアプローチ(semantic conception of theories)を採った場合に数学の科学理論に対する適用可能性の議論がどのような変容を被るかを研究し,その中で計算の果たす役割について考察した.また,三好は物理学との連関について予備的な考察を行った。超越論的な方向としては,檜垣は西田やドゥルーズなどに関する生命の哲学に関する研究を進めるとともに,とりわけ,これらの議論と共同体論・政治的倫理的思考との関連を検討し,フーコーの生権力論について考察した.また,三好は計算の哲学の概念装置と時間論との関わりについて論考をまとめた.さらに時間論と精神医学に関わる方向としては,深尾は精神発作(てんかん発作症状としての精神現象)としてデジャヴュが起こることに注目し,精神的時間の失調としてのデジャヴュのメカニズムを明らかにしようと試みた.また郡司は大阪大学の石黒教授と共同してデジャヴュの体験装置構築とその実験を行った.生命論の方向としては,郡司は,部分を貼り合わせて全体をつくるという操作に関する,動的な糊といったモデルの構築,および粘菌ロボットの実装:データ・プログラムの区別が担う齟齬を強調した生体マテリアルの計算資源としての利用,といった研究を行った.
|