研究課題
科研費採択初年度の2005年度は、4度の講演会と3度の研究会を中心に研究成果が蓄積された。本年度は、研究の基礎的作業が行なわれ、埋もれがちな暴力現象を多方面から発掘することに重点が置かれた。4月にNam-In Leeソウル大学教授による「批判的合理性と文化的伝統の問題」、6月に内海健帝京大学医学部助教授による「狂気の起源-統合失調症と近代」、10月にMartin Jay教授とCatherine Gallagher教授(カリフォルニア大学バークレー校)によって「恩寵の場所にあらず-庭園にある暴力」と「他の世界から見た第二次世界大戦」、翌1月に再度、内海健助教授による「金閣焼亡に関する精神病理学的考察」の講演会が開かれ、活発な議論が展開された。また研究会として、年度はじめに研究計画に関わるミーティングが開かれ、7月に鳶野克己立命館大学文学部教授による「熱意の呪縛-教育的擬制における暴力」、11,月に福原浩之立命館大学文学部助教授による「否定的感情からの自由-心身相関セラピーからのアプローチ」の研究発表がなされた。以上をつうじて、本年度の研究目標である暴力の諸現象が-対話的合理性、代替歴史小説、庭園およびガーデニング、近代的病としての統合失調症、教育と心理といった、一見暴力的とは思われないそれぞれの領域から、ある意味で驚くべきことに-引き出されてきた。他方、これとともに、それらの現象の人間存在との関わりの問題(次年度以降の研究の重点となっていく)にもアクセスの道が(萌芽的ながら)徐々に拓かれてきた。また、これら以外のメンバーの個人的研究についても、同様に着実に蓄積されている。その成果のうち、公刊されたものについては、「研究発表」に示されている。これらの成果は、その他のメンバーの研究とともに、当面個別に発表された。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (15件)
人間であること(燈影舎)
ページ: 123-144
立命館大学人文科学研究所紀要 86号
ページ: 26
Phanomenologie and Gewalt (Konigshausen & Neumann)
ページ: 113-122
現代の哲学-西洋哲学史二千六百年の視野より(昭和堂)
ページ: 190-214
精神療法 31
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臨床精神医学 34
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うつ病論の現在-精緻な臨床をめざして(星和書店)
ページ: 115-145
精神科 7
ページ: 476-481
臨床精神医学 34巻12号
ページ: 1699-1707
こころの科学 120
ページ: 55-65
精神科臨床サービス 5
ページ: 329-333
臨床精神病理 26
ページ: 181-188
心と社会 36巻3号
ページ: 40-45
精神科治療学 20増刊号
ページ: 106-107
季報唯物論研究 第93号
ページ: 13