研究課題
基盤研究(B)
研究期間の17-19年度には3編の論文を執筆した。その概要は以下の通りである。1)道教の色彩学(中国宗教の非言語コミュニケーション)冒頭で、ゲーテなどの西洋の色彩観に触れた後、道教では、青・赤・白・黒(玄)・黄・紫・紅・紺・緑の9色を尊んだが、とりわけ玄・黄・紫を尊重するのが、道教の色彩観の特徴であることを述べ、合わせて道教重玄派の代表的道士である成玄英の玄を尊重する色彩観にも言及した。2)総括-道教研究の方法と課題-(『道教研究の最先端』所収)(1)洗浴経の研究 敦煌本『太上霊宝洗浴身心経』は、初唐の重玄派の李榮の手になる『洗浴経』であり、李榮の『道徳経注』との関連も指摘されることを述べた。(2)重玄派の存在に対する疑問への反論 早稲田大学の小林正美氏等の重玄派の存在に対する疑問への反論を行い、従来、筆者が提示してきた茅山派と重玄派とが織りなす隋唐道教像を改めて示した。3)李白と唐代の道教(レトロとモダンの間)復古主義を標榜した李白は、道教に対する主体的な関わりの中で道教の原型を求め、主としてこの謂わば原道教、プロト・タオイズムを彼の代表作である「古風」などの詩に詠じた。李白は、隋・初唐の重玄派道教のような緻密な理論的道教ではなく、不死を追求する神秘的で実践的な道教を求めていた。それが彼を茅山派道教に接近させたのであろうなどと論じた。なお、報告書は、17年度に刊行された他の2編の論文も加えて冊子とした。
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言語と文化・文学の諸相
ページ: 243-262
LANGULIGUE, CULTURE AND LITERATURE
三浦勲夫先生退職記念論文集
ページ: 255-269
道教研究の最先端
ページ: 239-258
A FESTSCHRIFT FOR MIURA ISAO ON THE OCCASION OF RETIREMENT
THE FRONTIER OF DAOIST STUDIES