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2005 年度 実績報告書

古代地中海世界の多元的状況とキリスト教の形成

研究課題

研究課題/領域番号 17320017
研究機関京都大学

研究代表者

片柳 榮一  京都大学, 文学研究科, 教授 (60103131)

研究分担者 久山 道彦  明治学院大学, 文学部, 教授 (80221943)
竹田 文彦  英知大学, 文学部, 教授 (60319811)
土井 健司  関西学院大学, 神学部, 助教授 (70242998)
武藤 慎一  大阪府立工業高等専門学校, 一般教養科, 助教授 (90321455)
キーワード多元的状況 / 古代地中海世界 / ローマ帝国 / キリスト教 / ヘレニズム
研究概要

これまで研究会(コロキウム・パトリスティクム)を二回(六月と十二月)開いた。六月の研究会では竹田文彦氏がペルシアの賢者アフラハトにおける捉えがたき神について、また武藤慎一氏がニシビスのエフライムにおける普遍的なものと地域的なものについて発表した。これまでギリシア、ラテン教父に限定されていた教父研究がシリア地域というキリスト教発生の地に隣接する地域に目を向けつつある時代の先駆け的研究を二人が発表してくれた。ヘレニズム思想とは異なり、ロゴスよりもパトスにより重点のある地域での、宗教思想、殊に超越的なるものへの人間のかかわりを宗教儀式、言語、生活風俗の面にまで立ち入って論及してもらった。ゾロアスター教が支配的なこの地域の中でマイノリティとして自己確立と土着化という相反する二重の課題を持っていたことが浮き彫りにされた。十二月の研究会では津田健二(明治学院非常勤講師)氏に、マルキオンと中期プラトニズムの神概念の親近性と差異性について発表してもらった。マルキオンの知られざる神とこの哲学学派の超越神の間にある種の相似があることが、悪の問題との連関で示された。片柳榮一氏にはアウグスティヌスにおける「知ある無知」について発表してもらった。「知ある無知」はクザーヌスの主著としてよく知られているが、これがアウグスティヌスの書簡の中にある言葉であることはあまり知られていない。ゴート族のローマ侵攻に苦悩する人々に、アウグスティヌスは、何が人間にとって真の益をもたらすか知りえない人間を見つめ続けることを「無知の知」として慰め深く推奨している。古代末期に生きる人々の苦悩と希望とを垣間見せられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] アウグスティヌスの「知ある無知」2006

    • 著者名/発表者名
      片柳榮一
    • 雑誌名

      基督教学研究 25号(刊行予定)

  • [雑誌論文] オリゲネスの戦争倫理学2006

    • 著者名/発表者名
      久山道彦
    • 雑誌名

      基督教学研究 25巻(刊行予定)

  • [雑誌論文] 「存在」と「存在の彼方」2005

    • 著者名/発表者名
      片柳榮一
    • 雑誌名

      哲学は何を問うべきか(武市明弘他編著)(晃洋書房)

      ページ: 3-21

  • [雑誌論文] 愛と意志と生成の神(単著)2005

    • 著者名/発表者名
      土井健司
    • 雑誌名

      (教文館(発行所))

      ページ: 179

  • [雑誌論文] The Hermeneutics of Eusebius of Emessa in Comparison with That of Ephrem of Nishibis2005

    • 著者名/発表者名
      Shinichi Muto
    • 雑誌名

      The Harp 18

      ページ: 203-215

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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