研究課題/領域番号 |
17320026
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
大角 欣矢 東京芸術大学, 音楽学部, 助教授 (90233113)
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研究分担者 |
舩山 隆 東京芸術大学, 音楽学部, 教授 (50015252)
片山 千佳子 東京芸術大学, 音楽学部, 教授 (10152688)
土田 英三郎 東京芸術大学, 音楽学部, 教授 (10143645)
塚原 康子 東京芸術大学, 音楽学部, 助教授 (60202181)
植村 幸生 東京芸術大学, 音楽学部, 助教授 (80262252)
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キーワード | 芸術諸学 / 音楽 / 音楽教育 / 東京音楽学校 / 日本史 |
研究概要 |
本研究は、東京芸術大学が所蔵する東京音楽学校時代の諸資料の徹底的な調査を通じて、近代日本における音楽専門教育の成立と展開の実像を解明しようとするものである。本年度は、昨年度に引き続き、附属図書館の収蔵記録及びその教育活動との関係に主眼を置き、併せて学内に残る公文書のうち、教務関係文書について目録データベースの作成を進めた。 まず、附属図書館の楽譜・図書収蔵状況については、年度末までに楽譜約2400点、和漢書約1600点、洋書約2800点分のデータ入力を完了した。これらのデータを、音楽取調掛時代以来、明治28年までの学校主催の演奏会の記録と照合した結果、実際の演奏や教育活動で用いられた可能性の高い楽譜の現存を数十点確認できた。これにより、当時の実技教育の内容や水準及びその変化を具体的に推し量ることができるだけではなく、音楽教育の制度化や教員養成といった基礎固めの時期から、職業音楽家の養成へと向かう東京音楽学校のあり方の推移も如実に観察される。また洋楽と邦楽の共存のあり方に関する当時の考え方を示唆する興味深い事例も散見され、さらに外国語の声楽曲に新たに作詞された邦語歌詞をあてはめて歌う明治期独特の実践も多数確認された。これらについては、第57回日本音楽学会全国大会(平成18年10月)において成果の発表を行い、さらに国際音楽資料情報協会研究例会(平成19年5月)においてもより詳細な報告を行う予定である。 公文書調査に関しては、教務関係文書の目録化作業を開始し、大正元年までの入力を完了した。これにより文書の概要を一覧・検索できるようになった意義は大きいが、その内容の精査は今後の課題である。また、文書の大半は各種試験問題及び個々の学生の成績であり、個人情報に関わる部分が多いため、どのような形で公開が可能であるかについても慎重な検討が必要である。
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