研究課題/領域番号 |
17320038
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
中山 昭彦 学習院大学, 文学部, 教授 (80261254)
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研究分担者 |
武田 雅哉 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40216908)
佐藤 淳二 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30282544)
応 雄 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50322772)
押野 武志 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (70270030)
水溜 真由美 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (00344531)
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キーワード | 女性表象 / 映像表現 / 言語表象 / 映画 / 図像 / 文学 |
研究概要 |
三年間の研究の最終年度にあたる本年度は、以下のように研究内容の総合化を行った。 1、文学と活字、映像、図像のメディア的な表現上の特性に関して、理論的な考察を行い、各メディアの表現上の差異を明らかにするとともに、そのような特性が表象(特に女性表象)にどのような影響を及ぼすかを考察して一定の結論を得た。 2、1950年代〜80年代を中心に、映像と図像における女性表象を目仏中の三力国で比較し、それぞれの地域の状況の偏差によって、表象上の女性の主体化の様態に違いがあることを明らかにするとともにそのような主体化の相違に応じて、男性のホモ・ソーシャルな関係にも重要な違いが生じること、また表現のレベルにおいてそれを批評=批判する仕方には、小津安二郎、成瀬巳喜男、ヌーヴェル・ヴァーグの諸作家、そして中国第五世代の諸作家の間に、時代を超えた通底性が認められることを究明した。 3、1950年代〜80年代を中心に、文学と活字メディアにおける女性表象を日仏中の三力国で比較し、身体の断片化とフェティッシュ化において、映画や図像表現と共犯する局面はどの地域にも見られる一方で、日本の文学・活字メディアにおいては、その断片化された女性の身体表象が美学化される傾向がみられ、それが女性の主体化を疎外するとともに、フェティッシュの共有によるホモ・ソーシャルな男同士の絆が形成される点を明らかにした。また中仏においては、女性身体の断片化された表象が、むしろ物語批判や女性差別批判に結びつくことが多い点をも究明した。 なお、これらの成果は、昨年11月に南京芸術学院大学(電影電視学院)との共同シンポジウム「映像・視覚の現代研究」で研究発表し、論文集『ビジュアル・スタディーズ』(玉川大出版)として、7月に刊行される予定である。
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