研究課題/領域番号 |
17320041
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
山中 玲子 法政大学, 能楽研究所, 教授 (60240058)
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研究分担者 |
西野 春雄 法政大学, 能楽研究所, 教授 (80061216)
伊海 孝充 法政大学, 大学院・人文科学研究科, 兼任講師 (30409354)
宮本 圭造 大阪学院大学, 国際学部, 准教授 (70360253)
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キーワード | 江戸時代 / 能 / 狂言 / 藩 / 猿楽 |
研究概要 |
今年度は、前年度に引き続き、弘前市立図書館所蔵弘前藩庁日記の調査を中心に行った。同日記は江戸・御国日記合わせて三千冊を超える大部な日記であるが、その中から能楽関係記事を抽出する作業を継続して行い、今年度で全て完了することが出来た。そのうち江戸日記の能楽記事については、研究分担者・協力者の協力を得て翻刻作業を進め、今年度末までに、その大部分の翻刻を終え、これと平行して、藩庁日記以外の能楽関係資料にも調査の範囲を広げ、現在見ることの出来る弘前藩関係の能楽資料を網羅することに努めた。 本研究は当初、地方諸藩と能との関わりについて、全国的な調査を意図したものであったが、結果的に弘前藩の調査についての比重が相対的に大きくなったのは、これらの資料が、江戸時代の藩と能楽との関わりについての恰好の資料であるからに他ならない。弘前藩庁日記には、能の催しの記録が見えるだけでなく、お抱え能役者の休暇願や習事伝授願、あるいは能道具の支給願やその管理をめぐる口上書の類が逐一書き留められており、同藩における演能がどのように運営され、また藩の役人や能役者がどのように関わっていたのか、など、藩の演能の実態を示す極めて具体的な記事が豊富に見られ、これによって、江戸時代の能役者の日常や、諸藩お抱え役者と広儀役者との師弟関係の実態などを実に詳細に明らかにすることが出来るのである。 その研究成果の一端を紹介するため、能楽研究所と芸能史研究会との共催の形で、「芸能史料としての藩政記録」というテーマのシンポジウムを開催し、弘前藩庁日記の能楽資料としての有用性について様々な角度から検討を行った。その概要については、近く論文として公表する予定であり、また弘前藩庁日記の能楽関係記事についても、活字化あるいはウェブ上での公開を予定している。
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