研究概要 |
1立教大学海老沢又庫調査 キリシタン研究の権威であった故海老沢教授のコレクション海老沢文庫の和古書を中心に基礎的調査を進めた。前年度からの継続で数百点に及ぶ貴重書の悉皆調査をほぼ完了した。報告書にその書誌データを集約した。 2フランス国立図書館の調査 パリの国立図書館所蔵の中国漢訳キリシタン資料の調査を行った。特に『聖母行実』の刊本十数点を総合的に調査できた。他にギメ東洋美術館で絵巻をはじめ,仏教書の調査を行った。 3韓国教会史研究所の調査 ソウルの韓国教会史研究所の漢訳キリシタン資料の調査を実施。『聖母行実』の漢訳朝鮮版に加えてハングル版も確認できた。これに関連して,高麗大学付属図書館,東国大学付属図書館,国立中央図書館等々のキリシタン資料(天主教)及び関連する仏教書の調査を実施し,韓国におけるキリシタン資料の概要をつかむことができた。 4韓国外国語大学での「東アジアの日本文学研究」国際学会 ソウルの韓国外国語大学において,立教大学大学院日本文学専攻・日本学研究所とのあらたな協定活「東アジアの日本文学研究」という統一テーマで国際学会を開催,日本,韓国,中動の-環として,国,ベトナム,カナダ等々から文学,思想,美術等々の研究者が集まり,基調講演や三セッションに及ぶシンポジウムなど17本の研究発表でキリシタン文学や仏教とのかかわりなど,東アジアのひろがりから日本文学をとらえかえすあらたな試みとして活発な議論がかわされ,刺激的な学会となった。特に研究代表者が『聖母行実』を中心に東西交流文学の可能性について講演,分担者がキリシタン版イソップなどをテーマに講演,キリシタン文学関係の論をまとめて雑誌「アジア遊学」特集号(勉誠出版)として掲載予定(入稿済)。 5報告書のまとめ 3年間の総括として報告書を作成,ひろく配布した。
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