研究課題
基盤研究(B)「ソヴィエト全体主義における文化と政治権力の相克および共生に関する超域・横断的研究」(平成17-19年度)プロジェクトの最終年度にあたる平成19年度研究成果は、2008年2月16-17日に同志社大学(京都)にて行った研究報告会での3つの研究成果に示された。本研究発表会での課題は、過去3年間の議論において積み残されてきた領域を掬いあげるという方針をとり、時代スパンも大きく1917年から1953年までに設定し、哲学、思想、音楽の3つの領域にわたる報告を行った。そして、この3つの領域に対し、文学、芸術、歴史、政治などの専門研究者の意見を交差させることで、ソヴィエト全体主義の文化研究をめぐる越境横断的なエピステモロジーを構築するという当初の目的を果たすことができたと考える。とりわけ重要だったのは、渡邉雅司氏による一連のユーラシア主義研究であり、本研究報告会の目玉となった「ユーラシア主義への一つの視点」では、21世紀現代のロシアにおける政治と文化の特質を理解するきわめて本質的な問題の提示がなされた。とりわけ、ソヴィエト時代の全体主義を支えるメンタリティ「全一性」とは何かをめぐる報告は全体主義そのものの理解のいわば根幹にかかわるものであって、高い評価を得た。また、白井聡による「レーニンの唯物論の哲学史的位相」は、これまで本研究会で議論されることのなかったレーニン哲学の本質に迫るものであり、さらに、亀山郁夫による「ショスタコーヴィチの雪解け:『交響曲第12番』の謎を解く」は、スターリン時代の末期に生きた-芸術家の特異な精神状況を明らかにするもので、後者はとくに本プロジェクトがめざす次のステージを予告する内容の報告だった。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (5件)
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