研究課題/領域番号 |
17320049
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
市川 明 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00151465)
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研究分担者 |
大田 美佐子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (40362751)
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キーワード | 独文学 / 演劇学 / 音楽学 / ブレヒト / 叙事詩的演劇 / 舞台音楽 / クルト・ヴァイル / ハンス・アイスラー |
研究概要 |
今年度はブレヒトの演劇と音楽の関係を探ることに重点を置いた。2007年10月、日本独文字会研究発表会で、シンポジウムMusik und Buhne bei Bertolt Brecht(ベルトルト・ブレヒトにおける音楽と舞台)を開催した。クノップが『マハゴニー』でブレヒトとヴァイル、市川が、『母』でブレヒトとアイスラーの共同作業を論じた。テクストと音楽が同時進行的に作りれる理想的な共同創作の実態を示したが、同時に両者がライバル関係にあることも論証した。ルケージーが『肝っ玉』のチューリヒ初演時の忘れ去られた作曲家、大田がブレヒト上演における日本の作曲家について語った。報告は日本独文学会研究叢書57号として独文で2008年9月に出版された。韓国の研究者の論文などを加えた報告書2『ブレヒトにおける音楽と舞台』が2008年12月に刊行された。 ブレヒト没後50年を機に、ブレヒトの上演に関する制限が大幅に緩和され、アイスラーなどブレヒトのパートナーであった作曲家の音楽を使わなくてよくなった。上演国の作曲家による新いいソングや、海賊版として埋もれていた音楽なども出てきて、調査・研究か必要になり、事業を9ヶ月延長した。その間、韓国ブレヒト学会と密接なコンタクトを取り、市川が2007年8月に『セチュアン』、2008年5月に『イエスマンと能』について韓国で講演した。2008年1月に韓国の『肝っ玉』上演の翻訳者、李教授と作曲者、崔教授から話を聞き、パンソリ風音楽による韓国版ブレヒトの調査を7月末まで続けた。 2006年度の国際シンポジウムは報告書1にまとめられているが、加筆・修正したものが2008年7月に『ブレヒト詩とソング』(花伝社)として出版された。市川が翻訳・脚色し、日本の作曲家が協力した四つのブレヒト上演を、台本、解説、音楽(楽譜)にまとめ、研究報告書3『ブレヒト上演台本集--言葉と音楽』として2008年3月に刊行した。
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