研究課題
本研究は、現存する中国の戯曲文学のうちで最も早い時期のものであり、以後の中国近世戯曲史の展開の上で、大きな意味を持つ元代の雑劇についてさまざまな面からその特徴を明らかにすることを主たる目的としている。元代の雑劇には、性質の異なるテキストが存在するが、本研究はその最古層に属する『元刊雑劇三十種』本を研究対象として、テキスト全文の電子テキスト化に基づき、その語彙のデータベース構築ならびに詳細な校訂と訳注の作成を基礎作業とした上で、そのテキストとしての性格、明代に出版された他のテキストとの関係、散曲など元代文学の他ジャンルとの関係、さらには中国戯曲史に占めるその位置について解明しようとするものである。平成18年度は、昨年度に引き続きテキスト全文の電子テキスト化とともに、三十種のうちの二種すなわち『岳孔目借鉄拐李還魂』『晋文公火焼介子推』について会読を行い、その校訂、訳注作成を進めるとともに、すでに作成済みであった『関大王単刀会』についての研究成果を公刊し、同時にこれまで紀要類に公刊してきた成果を『元刊雑劇の研究』と題して公刊すべく、その原稿をまとめた。また、メンバーのうち二名がそれぞれ、明代に出版されたテキストの中では最古のものであり『元刊雑劇三十種』との関係が注目される『改定元賢伝奇』についての研究成果を公表した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
摂南大学 外国語学部 摂大人文科学 第14号
ページ: 105-142
中国戯劇 従伝統到現代(論文集)
ページ: 149-156
神戸外大論叢 第57巻
ページ: 167-180