研究概要 |
本研究は、アラブ・ペルシア・チャガタイ・モンゴル4言語対訳の『ムカッディマト・アル・アダブ』におけるモンゴル語とチャガタイ語の言語学的研究であり、以下のことをおこなった。 (1)写本のファクシミリ版の作成 (2)写本の文献学的な研究 (3)モンゴル語語彙データベースの構築 (4)モンゴル語とチャガタイ語の言語学的な分析 (1)としては、ウズベキスタン共和国科学アカデミー国立アリシェル・ナボイー文学博物館とタシュケント・イスラーム大学の専門家(研究協力者)によるこの文献の解題を付して、A4判1,068ページのファクシミリをカラー印刷で作成した。これにより、多くの研究者がこの文献に含まれる言語データを直接利用することが容易となった。 (3)については、延べ語数約27,000のモンゴル語語彙データベースを作成した。これには、各語のトランスリタレーションに加え、ページ番号、行番号、行中の句番号、句中の単語番号、トランスクリプション、対応のモンゴル文語の形態素、英訳、その他関連の詳しい情報が含まれている。 (1)と(3)によって、西部中期モンゴル語研究のための基礎が築かれたと言える。 (2)と(4)は、研究協力者によるものを含めた論文と関連の資料で、アルタイ文献学・言語学における重要な貢献となった。
|