研究課題/領域番号 |
17320066
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
筧 一彦 中京大学, 情報理工学部, 教授 (90262930)
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研究分担者 |
白井 英俊 中京大学, 情報理工学部, 教授 (10134462)
広瀬 友紀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (50322095)
野村 理朗 東海学院大学, 人間関係学部, 准教授 (60399011)
渡辺 真澄 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 専任講師 (60285971)
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キーワード | PWI法 / 命名潜時 / 統語的曖昧性 / 統語構造 / 音声言語 / 韻律情報 / 言語間比較 / アイトラッカー |
研究概要 |
1) 漸進的文処理過程をとらえる方法の一つとして、絵の命名課題の利用が可能かどうかについての検討を行い、日本語では、名詞を表す絵を命名する名詞課題において、オランダ語、ドイツ語、イタリア語のような言語の場合と異なり、文法効果が表れるという結果が昨年度得られた。この違いを究明するために、単語の親密度や心像性を厳密に統制した干渉語を選び31名の被験者を対象に名詞課題実験を実施した。現在このデータを分析中であるが、日本語の特性として動詞+名詞によって句を形成しやすいことがこの要因として考えられる。この結果は、より大きな句というような単位での漸進的処理への一歩につながるものである。 2) 漸進的意味処理をとらえるものとして、生成された音声の音響的特徴からのみでなく、その生成過程の側面から、曖昧性の解消に対して処理がどのように働くかを相補的に見るための検討を昨年度から開始している。本年度はWH疑問文を使用する対話において、曖昧性解消のために付与される韻律情報とその情報に対する受け手の処理についての解析を行った。その結果、話し手が曖昧性を意識する場合には、左枝分かれか右枝分かれであるかを示すための韻律情報として、時間情報が操作されること、及び話し手が曖昧性を意識しにくい状況では、操作される情報はピッチ情報となることが分かった。また、話し手が曖昧性を意識しにくい状況で操作される韻律特徴は、必ずしも聞き手が利用する韻律特徴と同じにならないことが明らかとなった。 3) 日本語の曖昧文における理解および生成過程実験において、上記2)の実験も含めこれまでに收集した左右枝分かれ構造曖昧文の音声生成データから得られた知見をもとに眼球運動の測定実験を行う計画を進めている。このためTobii社のアイトラッカーの導入に向けた機材準備を行った。また、パイロット実験を実施した。
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