研究課題
基盤研究(B)
この研究は、16世紀末〜17世紀初頭に日本でイエズス会が作成したキリシタン文献のうち、その特色の一つである対訳辞書類として「ラポ日対訳辞書」・「日ポ辞書」を取り上げ、当時の「大航海時代の対訳辞書」の一つとして捉え直し、その多言語辞書の語彙データベースを構築して、キリシタン文献対訳辞書類の語彙体系の特性を把握することを目的とした。キリシタン文献対訳辞書類の対照資料として、当時の代表的な多言語辞書であるCalepinus(増補版含む)の多言語辞書、Cardosoのラテン語・ポルトガル語辞書を選択し、当時の多言語辞書に於けるラテン語・ポルトガル語・スペイン語(等)語彙のデータベース化を行なった。この研究によって電子化を完了した辞書は、次の通りで、その殆どについて、原本に基づく校正を行なった。スペイン・ラテン語対訳辞書: Nebrija羅西/西羅辞書(1492版)ポルトガル・ラテン語対訳辞書Cardoso葡羅/羅葡辞書(1562版、1592増'補版)、Barbosa葡羅辞書(1611版)ラテン語・多言語(ヘブライ希伊独仏西等)対訳辞書: Calepinus(1582ベネチア版、見出し語のみ)ラテン語典拠用例集(Calepinusの典拠): Nizoliusキケロー辞典(1592バーゼル版、見出し語のみ)コンカニ語・ポルトガル語対訳辞書(イエズス会作成):コンカニ葡語辞書(1626写本)日本語とラテン・ポルトガル語対訳辞書(イエズス会作成)キリシタン版羅葡日対訳辞書(1595、天草刊)キリシタン版日葡辞書(1603〜1604、長崎刊)これらの多国語辞書とキリシタン版「ラポ日対訳辞書」「日ポ辞書」のラテン語・ポルトガル語とを対照させることによって、対ラテン語辞書の持つ「対訳による必要語彙の画定」という一般的性質を明らかにした。特に日本語について、「落葉集」「ぎやどぺかどる」の語彙の殆ど全てが「日ポ」の日本語語彙に含まれ、その「日ポ」の日本語の8割が「ラポ日」の対訳日本語に見出せる事を示した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (7件)
訓点語と訓点資料 116
ページ: 49-53
Journal of Asian and African Studies 72
ページ: 17-26
Revista de Letras, Serie II, N.o 5. (Universidade de Tras-os-Montes e Alto Douro, Vila Real, Portugal) 2-5
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Revista de Letras, Serie II, N.o 5. 49-58. (Universidade de Tras-os-Montes e Alto Douro, Vila Real, Portugal) 2-5
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Kuntengo-to-Kunten-Shiryo 116
Revista de Letras(Universidade de Tras-os-Montes e Alto Douro, Vila Real, Portugal) Serie II, N.o 5
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