研究分担者 |
關尾 史郎 新潟大学, 人文社会教育科学系, 教授 (70179331)
坂上 康俊 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (30162275)
大津 透 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (70194199)
丸山 裕美子 愛知県立大学, 文学部, 教授 (00315863)
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研究概要 |
本研究では、在ベルリンのトルファン漢文文書について、先行するカタログに加えて独自の調査に基づいて世俗文書の認定を行い、それら個々の世俗文書全てについて高精度のデジタル画像を収集し(画質が劣化しないTIF形式で保存)、釈読を施して、その文書(典籍)名・寸法・紙質等の書誌情報を確定して、精緻な画像を表示する新たな完全カタログを作成した。このカタログではテキストレベルにまで立ち入った検索が可能であり、それをふまえて文書同定や接続関係を検討することができるように工夫している。またデータベース本体は、研究代表者が管理するサーバー上でFileMaker Server Advanced 8.5によりWeb公開されていて、誰でも自由に検索できる状態にある。 その上で、同定が終わった個別文書を素材として、西域-中国-日本をつなぐ古代アジア世界の比較律令学的研究も進められた。その成果は多岐にわたるが、主要なものとしては、とくに戸籍類の比較から,大宝律令以前にさかのぼる西域と日本の類似性,5世紀初めの北涼戸籍の分析による西域での戸口掌握方式や戸の実態の解明、コータン地方における戸籍的なものの存在の解明等に大きな成果を挙げた。また法制史料については,コレクション中では早くから知られていた吏部格について,それが太極散頒吏部格であることを解明したのは重要な成果である。また辺境における漢字文化の実態,あるいは医書の内容分析の成果として東アジアにおける本草世界の確かな広がりの解明などについてもなしとげることができた。
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