研究課題/領域番号 |
17320100
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
高良 倉吉 琉球大学, 法文学部, 教授 (60264470)
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研究分担者 |
山里 純一 琉球大学, 法文学部, 教授 (50166659)
豊見山 和行 琉球大学, 教育学部, 教授 (40211403)
真栄平 房昭 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (50183942)
赤嶺 政信 琉球大学, 法文学部, 教授 (40192893)
狩俣 繁久 琉球大学, 法文学部, 教授 (50224712)
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キーワード | 沖縄 / 琉球 / 災害史 / 地震津波 / 異常気象 / 歴史文献情報 |
研究概要 |
2年間の調査・研究成果をふまえ各自が分担したテーマと蓄積を点検・総括したうえで、補足の調査や作業を行なった。また、各種文献より抽出した災害情報を研究協力者の補助を得て整備・点検してデータベース整備を加速させた。こうした作業を総括する目的でワークショップを開催し、報告と討論を通じて成果の現段階を把握するとともに、報告書作成に向けての課題を確認した。ワークショップにおいては災害の発生状況を真正面から捉える報告・討論の他に、本研究の眼目の一つであった「災害と生活をめぐる状況」の報告と討論が展開された点が意義深かった。その後、本研究の最大の成果となるデータベースの完成に務め、その内容をI正史関係、II首里王府仕置・久米島・両先島、III近代初期関係に3区分してまとめたが、抽出データを原典・出典に当たり記事を検証した。 予定通り執筆された各自の原稿を集めて報告書の編集を行い、第1部論文編に「琉球災害史覚書」「近世の琉球社会と飢饉」「宮古八重山津波(1771年)における災害・年貢・復興について」「災害と呪術」「沖縄における津波と油雨に関する伝承資料」「ことわざにみる自然災害」を配し、第2部資料編にデータベースを置き、末尾に琉球・沖縄災害史研究文献目録を加えた。 最終年度のとりまとめによって、前近代の沖縄における地震・津波の発生頻度を把握するとともに、台風や旱魃、虫害などの被害状況を全体として捉え、自然災害による農業への影響を知ることができた。さらには行政(首里王府)側の災害対策や備荒対策の実態を明らかにすると同時に、自然災害を人々がどのように受け止め記憶してきたかを解明することができたと思う。本研究を通じて、従来自然科学分野に限られていた沖縄災害史情報に対し人文社会科学分野からの本格的な情報を提示することができた点は画期的だと考える。沖縄地域の災害予知や防災対策の研究に対しても一定の寄与をなしえたと思う。本研究によって蓄積した成果をさらに活かすために、各自の今後の研究テーマに引き続き災害史の問題を位置づけ深めていきたい。
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