研究課題
今年度は17世紀の法と社会に関する調査・研究に力点をおいた。(1)17世紀町触の輪読会を計10回実施し、京都大学所蔵杉山家文書中の『触留』の輪読を行った。会では史料の解読・解釈および『大阪市史』町触や「先年よりおふれふみ」(大阪市立大学学術情報資料センター蔵)との照合作業をおこない、その成果をまとめてデータベース化のための準備を行った。また、『市史』町触も含め、「浪人対策」「宿」「宗旨改」「火事」などテーマ別に系統だって町触を整理・分析し、またそのテーマ間の相互関係を解明すべく、作業に着手した。(2)近世大坂研究会を計4回開催した。輪読会などの成果報告、研究動向の整理報告、大坂町奉行所に関する研究報告や他都市(越前大野)での事例についての研究報告をおこなった。(3)17世紀の大坂についての史料調査及び写真データの収集を行った。具体的には大阪府立中之島図書館所蔵の「触留」、道修町三丁目文書、菊屋町文書について写真史料を収集した。「触留」については翻刻作業をおこなった。また、御津人幡宮文書については現地で原本調査を行い、大阪市編纂所が撮影した写真を収集した。これらの史料群などから町における借屋人や宗旨改めの実態について研究をすすめた。その他、宗教者関係の史料調査(国立国会図書館)も行った。これらの調査・研究成果を集約し、今後の研究進展のステップとするため、2006年4月29日・30日に「近世大坂の法と社会」をテーマとしたシンポジウムを開催することにし、その準備に当たった。19世紀については、明治初期の「布令留」についての所在調査を開始し、『大阪府布令集』との対応関係を整理する準備を開始した。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
難波宮から大坂へ(和泉書院発行)
ページ: 231-252
部落問題研究 173
ページ: 44-57
別冊都市史研究 水辺と都市(山川出版社発行)
ページ: 55-64
法学雑誌 52-1
ページ: 150-181
法学雑誌 52-2
ページ: 331-359
大阪歴史博物館研究紀要 4
ページ: 73-84