研究概要 |
日本上海史研究会(代表・高綱博文,1990年創立)が取り組んでいる共同研究「中華人民共和国成立前後における「移民都市」上海の性格とその変容に関する総合的研究」とは,現在めざましく発展しつつある東アジアの大都市・上海の特性が,近代都市としての歩みの中でどのように形成され、変化してきたかを、「移民都市」としての性格に注目し,東アジアの各地域及び中国国内の他地域との関係に留意しながら空間的・時間的な広がりの中で明らかにしようとするものである。平成18年度の研究実績として特筆すべきものは,以下の2つである。 1つは,平成18年9月17〜18日に日本上海史研究会は合宿形式のワークショップ「第2回中華人民共和国成立前後における中国都市社会の変動」を開催したことである。このワークショップは,平成18年1月に開催した第1回のワークショップに引き続く、本研究の前提を構築する作業として,内戦期及び建国初期の上海を中心とした都市社会の変動と再編過程について,「建国後上海の人口管理」・「1950年代中国都市における食料配給制度の導入過程」・「民衆教育館による社会教育活動の具体像」・「単位制度研究の概要」をテーマに個別報告と討論を行い,大きな研究成果をあげることができた。いま一つは、中国近現代史研究の専門学術誌『近きに在りて』第50号(汲古書院、平成18年12月刊)に「上海史特集」を組み、「中華人民共和国成立前後における中国都市社会の変容」に関する専攻論文4本と近代中国都市社会史の専攻論文2本、上海史関係新刊紹介7本等を掲載した。 その他、日本上海史研究会は例会を開催し共同研究を推進するともに、アメリカ・台湾・中国の外国人研究者等が次のようなテーマで報告し討論を行った。「戦後上海における防疫事業」(平成18年4月29日)、「1912〜35年の上海の新聞業界」(7月1日)、「上海の百貨店の社会主義改造」・「上海工商業税の税制政策の変化」(11月16日)、「思想改造運動と都市大衆文化の主体転換-上海を中心に-」(平成19年3月24日)。
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