研究分担者 |
森安 孝夫 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70157931)
宇野 伸浩 広島修道大学, 人間環境学部, 教授 (60310851)
村岡 倫 龍谷大学, 文学部, 教授 (30288633)
白石 典之 新潟大学, 超域研究機構, 教授 (40262422)
大澤 孝 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (20263345)
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研究概要 |
本研究は,古代トルコ語,モンゴル,アラビア,ペルシア及び漢語で書き残された碑文,文書等の解読,考古学研究により,6〜14世紀の間のモンゴルにおける交通・都市の発展を考察するものである。ニューズレター01〜03(2007年度)等で,すでに成果の一部を公表したが,最終成果として研究代表者および分担者の10編の報告論文を本報告書に収録した。研究代表者の松田は前2世紀の匈奴から14世紀のモンゴル帝国〜元朝時代に至る物流・都市発展に焦点を絞り通史を描いた。この通史は研究分担者個々の諸言語史料研究の時系列の座標軸となるもので,唐とウイグル間の物流拡大により物資貯蔵の必要性が高まりモンゴル高原に都市が出現,それがやがてモンゴル時代に最高潮に達する実態を明らかにした。大澤は都市出現前の突厥時代碑文を研究,森安と協力者はウイグル時代のシネウス碑文を研究した。シネウス碑文はソグド人,漢人による同時代の都市建設を証明する根本史料である。宇野は,『元朝秘史』及び『集史』にもとづきチンギス・カン事蹟を検討し,『秘史』の史料的限界を明らかにし,研究基盤を整備した。村岡と協力者は,医聖人廟(三皇廟)に関するカラコルムの漢文碑文を研究,松川はカラコルムの寺院建設に関するモンゴル語碑文を研究し,元朝時代のカラコルムの繁栄を証明した。松井,中村はニューズレター01でカラコルムの漢文碑文研究を行い,また本報告書で松井は中国甘粛省安西楡林窟残存のウイグル語銘文を研究,河西〜甘粛の交通等に関して考察,中村淳はモンゴル時代の帝師・国師の称号,活動について研究,帝師の内モンゴル〜華北〜甘粛間の交通について考察した。矢島はモンゴル時代のアラビア文宇墓碑を研究し,イスラーム教徒のモンゴル本土での活動理解の証左を示した。白石はモンゴル国シャルガ郡の都市遺跡付近収集の陶磁器史料を研究,中国本土との物流を確認した。
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