研究課題/領域番号 |
17320114
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小澤 弘明 千葉大学, 文学部, 教授 (20211823)
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研究分担者 |
大峰 真理 千葉大学, 文学部, 助教授 (70323384)
上村 清雄 千葉大学, 文学部, 助教授 (60344959)
橋川 健竜 千葉大学, 文学部, 講師 (30361405)
秋葉 淳 千葉大学, 文学部, 講師 (00375601)
後藤 春美 千葉大学, 国際教育開発センター, 助教授 (00282492)
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キーワード | 西洋史 / データベース / 不均等発展 / 帝国論 / 国民国家 |
研究概要 |
初年度は、研究データベースの作成と研究ネットワークの形成に中心的に取り組んだ。データベースはオーストリア研究文献目録(第一次)がほぼ完成し、次いでアイルランド、南仏、ハンガリー、ルーマニア、オスマン帝国などが間もなく完成予定である。これらのデータベースはサーバーに集積しており、公開に向けた準備作業を行っている。 研究ネットワークの形成については、小澤が韓国、オーストリアの研究者と研究打ち合わせを行い、橋川がアメリカ合衆国、後藤がイギリスについて、それぞれ現地調査を踏まえて研究動向を精査した。 同時に日本国内所蔵資料の把握につとめ、大阪市立大学、大阪大学、岡山大学などの資料調査を行った。これらの成果も研究リソースのデータベース作成に反映させる予定である。 研究視角という点では、第一にヨーロッパ近現代史における中心=周縁関係をめぐる最近の議論を整理した。とくに、地域的不均等発展論、境界論、市民権論など、EU統合の現状を背景とした国民国家論やヨーロッパ概念の再検討の動向に注目しながら資料収集を行った。これらの議論は、日本西洋史学会の小シンポジウム「地域概念としてのヨーロッパ」の企画過程にも反映されている。 第二の研究視角として重視したのは、ポストコロニアル批評を媒介としたヨーロッパ内外の帝国認識をめぐる議論である。ここでは、とくにハプスブルク帝国の周縁認識をめぐるk.u.k.Kolonial, Habsburg postcolonial, Kakanien revisited, After Empireなどの帝国論および「帝国後」論を、イギリス帝国、オスマン帝国などの諸帝国との比較において把握する視座について議論を行った。ここでは、「認識」を問題にする方法である文芸批評、表象論の可能性について検討を行った。 第三に、ヨーロッパ内の中心=周縁関係を世界史における中心=周縁関係の構造的把握と接合するための諸概念、とくに従属理論、世界システム論、新構造学派について検討を行った。この議論は、日本西洋史学会の公開講演「世界史とヨーロッパ史」の企画過程に反映させた。
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