研究最終年度の平成19年度は、本研究の総括を主要な目的とする調査研究を中心に進めた。 7月には、福島県本宮市に所在する七ツ坦古墳群のうち、庚申壇古墳と天王壇古墳の物理探査を奈良文化財研究所の協力のもとで実施し、また9月には、庚申壇古墳の墳丘発掘調査を実施した。これによって、両古墳が5世紀の古墳であることを確認するともに、その墳形や埋葬施設等に関する基礎資料を得ることとなり、これらは詳細が不明な七ツ坦古墳群の動向を把握するための重要な情報となった。この成果については、本年3月に報告書を刊行した。 また、後・終末期の福島県・東日本の主要な古墳副葬遺物である圭頭大刀のデータベース化を完成させるとともに、福島大学が所蔵する古墳時代後期〜律令期を中心とする時期の遺構・遺物を撮影した紙焼き写真・フィルムをデジタルデータ化し、将来の幅広い活用に備えた。 11月には本研究を総括するシンポジウムを公開で開催し、約150名の一般・研究者の参加者をえた。パネラーには、福島大学のほか、福島県内外から著名な考古学・古代史研究者を招き、東日本の古墳時代から律令社会への転換過程に関する最新研究成果をもとにした活発な議論を行った。シンポジウムにあたっては、パネラーが寄稿した資料集を刊行し、参加者に無償配布するとともに、全国の大学・関係機関に送付し、研究成果の普及広報に努めた。また、研究室のホームページを開設した。現在は整備途中であるが、将来的には研究室による調査研究成果を体系的に掲載し、研究者のみならず一般に対しても、調査研究成果をいち早く公表することを目指している。
|