本研究は韓国の統一新羅時代瓦〓の編年の確立をめざすものである。本年度はその基礎的な資料調査を中心に研究を実施している。また本年度より研究協力者8名と「新羅瓦研究会」を立ち上げ、共同研究を開始している。 1.資料カードの作成 資料の集成、それぞれの型式の所蔵機関や資料化の実態を把握するために、『新羅古瓦の研究』『新羅瓦〓』『朝鮮古瓦図譜』などの図録類、『雁鴨池』『皇龍寺』『感恩寺』『新羅王京』といった発掘調査報告書など、新羅瓦の情報を集め、資料カードを作成した。 2.各機関所蔵朝鮮半島産瓦の資料調査 本年度に資料調査できた資料はいくつかあるが、とくに、熊本市熊本博物館所蔵の瓦(206点)と高浜市やきものの里かわら美術館所蔵(154点)について重点的に調査を行った。前者は拓本と写真撮影を終え、その概要について研究協力者の美濃口紀子氏が紀要に発表予定である。後者は現在も拓本と実測図の作成が進行中であり、次年度5月頃には終了予定である。こちらは研究協力者の天野卓哉氏を中心に平成18年度中に研究図録の刊行をめざしている。 3.胎土による産地の分類 廣田長三郎氏所蔵の朝鮮半島産瓦(104点)を借用し、混ぜられた砂粒から分類が可能かどうかを検討した。分析から慶州産と考えられる瓦について少なくとも2大別できることが明らかになった。今後の編年の作業のなかで、胎土ごとの編年の必要性が考えられる。
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