平成18年度に引き続き、資料の集成に努めながら、これまでの情報を整理し、編年・製作技術・日韓古瓦の比較・文字資料の検討など、それぞれのテーマについて研究を進めた。資料調査としては11月に高浜市立やきものの里かわら美術館、1月に熊本市立熊本博物館にて補足調査を実施した。ついで、2月には韓国慶州地域の瓦窯などを踏査し、遺物としては慶州大学校博物館の仏国寺資料を中心に資料調査を行い、慶州在住の瓦研究者と意見交換を行なった。また、統一新羅に大きく変化する瓦屋根様式の考察のために、また、3月には中国西安市の中国社会科学院・陳西歴史博物館・西安博物院などで唐代の瓦の調査を行った。ここでは統一新羅瓦との関係を捉えることができる有孔の鬼瓦、楕円瓦を見い出している。また、東洋文庫の梅原考古資料のデータベースが公開されていることを知り、これらの新羅瓦の整理も進めた。これは浜田耕作・梅原末治『新羅古瓦の研究』の原資料であり、また新たな文字瓦も確認することができた。 いっぽう、胎土の研究については、石英と白色砂粒との量比から分類できる見通しがついてきた。仏国寺所用瓦では胎土の差異と紋様の系統が対応している。また、慶州の遺跡では非常に多種の瓦が出土し混沌とした状況にはあるが、それでもやはり数量的な検討を行うと創建瓦が多数を占めることを確認できた。これらについては『奈良県立畝傍高校所蔵考古資料』に「統一新羅時代瓦の編年-感恩寺・仏国寺創建瓦の検討-」として2008年度中に刊行予定である。
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