本年度は初年度として、九州・近畿・東海地方の主要古墳を重点的に調査した。現地調査では、出土資料の悉皆的な分析・分類を徹底して行い、製作技術と使用工具の比較研究を行うための資料化の前提作業として写真撮影と調書作成による記録化を図った。 対象資料は、福岡県沖出古墳・奈良県室宮山古墳・静岡県堂山古墳で、古墳時代前期末頃から中期中葉の典型例を分析することができた。また、古墳時代中期の基準資料である東京国立博物館および群馬県伊勢崎市所蔵の群馬県赤堀臼山古墳出土埴輪の整理・分析を進めた。資料調査においては、各地の研究協力者の協力を得て、調査精度の向上と効率化を図った。 一方、これまでの研究方法の評価を行い、問題点を明確にするために、研究協力者とともに研究集会を実施した。研究集会は、平成17年9月と平成18年2月に、奈良県橿原市および静岡県浜松市において、日本古代史研究者および重要先行研究成果である静岡県堂山古墳出土埴輪の整理・報告担当者を招聘して開催し、研究成果の検討と意見交換を行った。 このほか、これまで収集した資料との比較・検討を進めた。集成した調書・写真・実測図などの資料は、ファイルに分類するなどして整理した。分析データや出土古墳データなどは、パソコンに入力して簡単な統計処理を施し、データの整備に努めた。また、35ミリフィルムスキャナーを購入し、写真資料のデジタル化を実施する環境を整えた。 なお、以上の作業は研究支援者依頼するなど、作業の能率化を図りつつ行った。
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