研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、平成14年度から16年度の3カ年間取り組んできた科学研究費補助金(基盤研究(B))による「いわゆる近隣政府ないし都市内分権制度と基礎地域組織との関係に関する法社会学的研究」(課題番号14320004)の共同研究(以下「都市内分権研究会」と略称する)を継続発展させて、この数年日本及び欧米で明確になってきた「協働型社会構想」のもとでの地域社会の構造変化とそれを巡る制度変化を、法社会学的に解明することにあった。本研究課題の期間中に、日本初の法律制度としての都市内分権である「地域自治区」制度が立ち上がり、その注目すべき適用事例も出てきたし、それをいわば横目でにらみながら独自のコミュニティ政策を展開する自治体も数多く現れたため、都市内分権研究会はそれらのフィールド調査にかなりの力を割いた。もちろんこれを理論的に分析する視座をさらに精密にするために、本研究課題のもう一つの眼目である諸外国のフィールド調査も深めていった。この結果、都市内分権の国際比較の視座として、公共的意思決定の身近で民主的な仕組みを作ることを重視する「参加型」と身近な公共サービスを行政から民間へと移す仕組みを主眼とする「協働型」との二つの理念型を想定することが有効であるとの枠組みに達し、このもとで、日本の地域自治区制度や、法律によらない各自治体のコミュニティ政策や条例に基づく都市内分権的試みは、「協動型」としての性格を強く持つ点が、大きな特徴であることがわかった。ヨーロッパ諸国の都市内分権は、おおむね参加型であり、このところの「第三の道」のもとでの協働型の取り組みも、成功事例を見れば、財政負担を軽くする効果よりは、むしろ貧困地区などにおいて住民を励ます効果の方が大きい。これに対して、日本の都市内分権的試みは、行政サービスの縮小・重点化のもとで、コミュニティ・レベルにいかに代替的公共サービスの仕組みを作るかという意図を強く持っている。特に、法律上の地域自治区制度の下においてさえも、「地域協議会」という法定の意思決定機関のほかに、わざわざその意思決定を執行するための住民組織を別途設置しようとする志向はこの文脈においてはなはだ興味深い。
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