研究分担者 |
石井 彦壽 東北大学, 大学院法学研究科, 教授 (10374878)
佐藤 裕一 東北大学, 大学院法学研究科, 教授 (10436066)
坂田 宏 東北大学, 大学院法学研究科, 教授 (40215637)
小粥 太郎 東北大学, 大学院法学研究科, 教授 (40247200)
菱田 雄郷 東北大学, 大学院法学研究科, 助教授 (90292812)
|
研究概要 |
債権回収に関連する諸法令が現実の債権回収過程にいかなるインパクトを与えているかを検証する,というのが本研究の目標である。本年度も前年度に引き続き,関係法令及び判例の変遷を正確に理解するという作業を行った。その成果の一部が後掲論文である。本年度は判例研究が中心となった。 後掲河上論文は,近時の裁判例について,融資段階,債権管理段階,回収段階毎に,下級審裁判例も視野に入れつつ,包括的に整理するものである。後掲坂田論文は,動産売買先取特権に基づく物上代位に関する一連の判例を要領よく検討するものである。後掲小粥(1)論文は,保証債務の管理に関して重要な意義を持つ,破産者の債務について免責後になお消滅時効の進行が観念できるか,という問題について,判例を素材にしつつ,免責の法的性質にまで立ち戻って検討を加えるものである。後掲菱田論文は,いかなる再生計画が「債権者の一般の利益に反する」のか,という問題につき,近時の裁判例を素材に「債権者の一般の利益」が,いわゆる清算価値保障原則以上のものを含意し得ることを確認するものである。 以上の作業に加えて,本年度には,債権回収に関する法的規律を理論的に分析する,という作業にも着手した。その一環として,2007年3月に,森田果・助教授をゲストスピーカーとして招き,ご報告いただいた。そこでは,一定の者が,他人の財産について優先的な権利を主張できる場合を横断的に概観した上で,かかる法的アレンジメントを,財産分離によるモニタリングの分担という観点から整理・分析するという斬新なアイディアが提示され,活発な議論がなされた。
|