研究課題
債権回収に関連する諸法令が現実の債権回収過程にいかなるインパクトを与えているかを検証するというのが本研究の目的であるが、本年度は、最終年度として、その検証作業を続けるとともに、担保法、債権法、倒産法を巡る活発な議論とともに、研究分担者でもあり実務法曹(弁護士)でもある佐藤教授、官澤教授から多くの示唆を受けつつ、研究成果を集約する作業を行った。債権回収過程、執行実務に関する包括的な情報収集に基づき、論点の整理、問題点の発見、さらには整理された論点に関する理論的・実務的検討を体系的に集約する作業を行った。その成果は、以下の論文等に結実している。なお、昨年度まで研究代表を務めた河上教授が転任のため、新たに石井が研究代表者となった。坂田教授は、執行実務及び破産実務の研究の成果として、破産実務において実例の多い継続的供給契約と賃借人の破産について、従来の判例・通説を再評価しつつ、理論と実務の調和の観点から、妥当な結論を得るべく「継続的供給契約」及び「賃貸借一賃借人の破産」の論文を執筆し、発表した。この2論文は、法科大学院教育のため用いられる教材になりうると同時に、倒産実務に携わる職務にある裁判官、弁護士等にとっても有益なものである。小粥教授は、担保法及び債権法に関する研究の成果として、鎌田薫教授・内田貴教授らを中心とする研究者のグループによる民法(債権法)改正検討委員会に委員として参加し、債権回収・倒産に関する債権者代位権、詐害行為取消権、多数当事者の債権債務関係、保証、債権譲渡・債務引受、契約上の地位の移転の検討をし、これらについての立法提案の検討・報告書の作成を精力的に行った。この成果は、平成21年6月ころに『民法(債権法)改正検討委員会報告書』(商事法務研究会)として出版が決定されている。また、民法(債権法)改正提案の内容にっき司法研修所で開催されるセミナー(平成21年7月)の講師として、裁判官を対象に、その成果を世に問う予定である。河崎准教授は、以上の成果を最大限に生かしつつ、倒産処理に関する研究の成果として、ライフワークの一部である倒産手続の制度的構成につき、理論的考察を加えた論文を執筆中であり、法学73巻3号(2009年8月予定)に掲載が決定されている。
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法学73巻3号(2009年8月)予定 73-3(掲載決定)
山本克己=山本和彦=瀬戸英雄編『新破産法の理論と実務』(判例タイムズ社)
ページ: 197-198
ページ: 202-203