研究概要 |
1.内外の交渉研究の成果の渉猟 社会心理学,ゲーム理論を主軸とした交渉研究,交渉教育研究の内外の文献を蒐集し検討を進めた.東北大学文学研究科の大渕憲一教授による社会心理学と交渉の諸研究のレクチャーを受けた. 2.法科大学院生等の学生による交渉シミュレーションの実施 東京大学法科大学院の既習者コースの3年生を対象として,交渉シミュレーションの実作とシミュレーションの実施を繰り返した.そのための基礎準備として,東京大学法学部の学生(3〜4年生)を対象として,交渉シミュレーションの実作とシミュレーションの実施,ならびにその結果の分析を行った. 3.交渉シミュレーションの多面的分析 上記法科大学院ならびに法学部におけるシミュレーションを用いた交渉教育においては,ゲーム理論,政治学,社会心理学等種々の観点から分析を行った. 4.交渉スキル評価手法の開拓 交渉スキル評価のために,上記シミュレーション参加者には,(1)自己評価としてのパーソナリティ評価質問票,(2)他者評価としての交渉相手方による交渉スキル評価票,(3)第三者的評価として調停シミュレーションを用いて中立的立場である調停者による交渉者評価票,を記入してもらい,分析の対象とした. 5.法的交渉に即応したパーソナリティ特性測定尺度へ向けての探求 上記シミュレーション参加者には社会心理学で確立している種々のパーソナリティ評価測定尺度からピックアップして交渉スキル評価との相関を検討した. 6.法的交渉エクスパートへの面接調査 弁護士,裁判官,ビジネスマン,司法書士等で交渉による合意及び交渉による紛争解決について深い知識を有する者数名に面接調査を試みた. 初年度であり,次年度以降へ向けての十分な準備がなされた.交渉シミュレーションを用いた交渉教育をさらに彫琢して次年度以降のさらなる成果に結びつける方向付けが固まってきた.
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