研究分担者 |
松浦 正孝 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (20222292)
平田 武 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90238361)
横田 正顕 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30328992)
中田 瑞穂 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70386506)
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研究概要 |
2007年度においては,2007年7月に北海道大学で全体研究会を開催し,「セミ・ポリアーキー」という独自の政治体制類型の定義方略につき,各研究分担者の個別研究から導かれつつある具体的な知見と摺り合わせながら,いまいちど全員で詳細な検討を加えた。その結果,「権威主義体制」の下位類型がアド・ホックに提唱され増殖している今日,さらに別の一類型を加えることに特に積極的な意義は見出しにくいとの意見が主流を占め,やはりセミ・ポリアーキーをポリアーキーの減損下位類型(diminished subtype)として理解したうえで,最終的な報告書の作成に臨むとの方針が確認された。そこで求められたのは,セミ・ポリアーキーもまた権威主義体制の基本的特質である「限定的な多元主義limited pluralism」構造を部分的に備えているという点-これは昨年度までの研究で得られた知見である-を,「セミ」という形容詞によって指し示すことが可能となるような,新たなポリアーキー・モデルの構築である。そこで空井は,R・ダールが『ポリアーキー』において提示した,「包摂性」軸と「自由化」軸を立てて2次元図式でポリアーキーを把握するモデルに代え,「政治的決定者の議会への一元化」という軸を含んだ3次元のポリアーキー・モデルを構想したうえで,「ポリアーキー・マイナス」としてのセミ・ポリアーキーの境界を確定する作業を進め,中間成果を2008年1月に北海道大学政治研究会で報告した。その後,空井の理論化作業の終了をまって,2月に東北大学で班長会議を開催してセミ・ポリアーキー理解の統一を図り,続いて3月に名古屋大学で開催した最後の全体研究会において,すでに最終段階にある個別研究の成果に対して相互に批判的検討を加えた。 本研究の成果は,目下とりまとめ中の報告書において示されることとなる。
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