研究課題/領域番号 |
17330040
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松井 彰彦 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30272165)
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研究分担者 |
長瀬 修 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特任助教授 (60345139)
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キーワード | 長期的関係 / 規範 / 発話 / 実験経済学 / 繰り返しゲーム / 独占禁止法 / 独裁者ゲーム |
研究概要 |
【成果の公表】 実験の成果に基づき執筆した論文「Voice Matters in a Dictator Game」(山森、加藤、川越との共著)がExperimental Economicsに受理された。本論文は、表題にもある通り、独裁者ゲームと呼ばれる状況について実験を行い、結果に人々の発話が影響するさまを分析したものである。独裁者ゲームは一定量の財産を独裁者がもう一人(市民)に幾ら分け与えるかを決定するゲームである。利他的な個人を仮定しても、これまでの理論では独裁者の分与額は、会話によって影響を受けないとされてきた。ところが、その状況を実験によって再現し、額の決定に先んじて市民にあたる人物に会話を許すと、発話によるアピールが独裁者に実際の正の支払いを促すことが確かめられた。すなわち、現実の行動においては、ゲーム理論における経済合理的な判断とは異なる、何らかの規範に依る決定が人々によってなされていることになる。今後はこの結果を足がかりとして更に理論、実験による分析を進める予定である。 【その他】 他に、In-Koo Choとともに行った長期的関係についての理論的研究が第一稿としてまとまり、形をなしつつある。今後は可能な限り速やかに結果をまとめていく予定である。 長瀬との数回の研究会を通じて、非対称なプレイヤーたちの長期的関係、またその退出オプションに関する考察も行った。この研究会の延長として、長瀬を米国サンディエゴに派遣し、さまざまな知見を得た。 上記独裁者ゲームの異なる形での追実験を行った。 調査を充実させる側面においては、公正取引委員会との意見ならびに情報の交換を通じて、独占禁止法違反の実態等に関して把握を深めた。独占禁止法に関する懇談会は引き続き活動中であり、議論も3月現在未決着のまま続けられているものが複数あるため、この活動は翌年度に及んでなおも進行する予定である。
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