研究課題/領域番号 |
17330041
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
大橋 和彦 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 助教授 (50261780)
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研究分担者 |
齊藤 誠 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10273426)
中村 信弘 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 助教授 (90323899)
本多 俊毅 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 助教授 (70303063)
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キーワード | 証券デザイン / 最適契約 / 確率微分効用 / 前向き-後向き確率微分方程式 / プリンシパル・エージェント / インセンティブ / ファンド運用 |
研究概要 |
逆選択による最適証券デザインの実証研究については、公募ABSに関する分析を継続しつつ一層の精緻化を行った。特に、データのクラスタリングに対して頑健な標準誤差を用いた推定を行い、このような問題を考慮した場合であっても、超過劣後比率と(発行利回り)スワップ・スプレッドに関して負の相関が有意に観察されることを確認した。このことにより、逆選択に基づく証券デザインの理論的含意の成立が、日本のABS発行市場に関して実証的に一層強く示唆されることになる。 一方、プリンシパルとエージェントの最適契約の分析については、再帰的効用の動学的確率変動版である確率微分効用理論(Stochastic Differential Utility)に基づき意思決定を行うプリンシパルとエージェントの最適契約問題を完全情報下と部分情報下で考察し、その最適解が前向き-後向き確率微分方程式(FBSDE)の適合解で特徴付けられることを示した。同様の枠組みで、新たな証券のデザインを通じて、リスク移転を2つのエージェント間で行う際の諸問題(最適リスク移転、各エージェントの最適消費、最適投資戦略等)の研究を行い、確率最大値原理、BSDE理論の比較定理を用いて最適性の必要十分条件を導出した。更に、これらの最適解の性質を明らかにしたり、実証研究を行うために、FBSDEの数値計算法の研究を行い、2つの有効な数値計算アルゴリズムの提案を行った。さらに、これらの問題の具体例として、プリンシパルを投資家及びエージェントを運用機関とした最適運用委託契約問題に関する先行研究の調査を行い、実務上の実行可能性を考慮した上で今後解決すべき問題の考察を行った。
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